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ホームページをご覧いただきありがとうございます。今回はフッ素系溶剤の解説の続きをしたいと思います。まだ最初からご覧になっていない方は、第1回目からご覧いただくことを推奨いたします。このフッ素系溶剤の歴史を理解するというのが一番重要になるのでここだけは理解していただきたいと思います。
フッ素系溶剤というものは、規制になって途中で使用できなくなったものがあります。廃番になるものと、なぜ廃番になったのか?という移り変わりを理解する必要があります。
・HCFC141bから始まってHCFC225→HFC365→HFE/HFOになります。
・HCFC141bと225、これは、2010年と2020年に全廃しております。この記事は2025年現在に書いておりますので、もう既にない状況です。
ここでは、なぜ全廃されてしまったのか?今はどういうものがあるのか?というものを知っておく必要があります。
HCFC(ハイドロクロロフロロカーボン)
→HCFCの略になります。
HCFCとは何かというものを、ゼロから説明すると長くなるのでここは「キーワード」を抑えて行きたいと思います。
どこかで聞いたことある名前かと思いますが、法律や条約・署名があったりと非常に複雑なので今回はここは割愛したいと思います。この「オゾン層破壊性物質」とは聞いただけで分かると思うのですが、オゾン層を破壊してしまう物質として、このフッ素系溶剤のHCFC-141bとHCFC-225というものがあります。
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一番思い浮かぶのが「二酸化炭素(CO₂)」だと思います。ただし今回はフッ素系の説明をするので、地球温暖化係数というのが存在しています。
これは、何かというと二酸化炭素を1としたときに、地球温暖化への影響を数値化したものを地球温暖化係数と言います。たとえば二酸化炭素を1にしたときHCFC-225というものがどれくらいか?というと127倍~525倍の地球温暖化の影響があります。これは、ものすごい差なわけです。ここでもう1回抑えておきたいのがHCFCは、オゾン層破壊性物質かつ地球温暖化に影響するためHCFC-141bが2010年に全廃、HCFC-225が2020年に全廃ということになります。
先程は「オゾン層破壊性物質」と言いましたが、それも、オゾン層を破壊してしまう度合いというのがありまして、それを係数で表したりしております。HCFCというのが、オゾン層破壊係数が非常に高くつまりオゾン層を破壊してしまう影響というのが強いのですが、このHFC-365になるとこの影響が0(ゼロ)になる。それが魅力的で代替品として考えられてました。
ただし、地球温暖化係数を比較してみると、HCFC-225は、127~525倍、これは先程見たと思いますが、しかし、HFC-365になると804もあります。むしろ、HCFC-225の時よりも大きくなってしまっている。オゾン層破壊係数は0(ゼロ)だけれども、地球温暖化係数と比べるとこちらの方が大きいわけです。使用され続けてきた結果、「規制が必要なのでは?・・・」という話が出てきました。
HFC-365だけでなく、HFC全般を対象としている
これは環境省のホームページに実際に記載されております。詳細資料がございますので、気になる方は
下記のURLをクリックしてご覧ください。
環境省ホームページ【モントリオール議定書HFC改定について】
このHFC-365が地球温暖化係数が高めなので、HFC-365を含めた、HFC全てを段階的に削減して行かなければいけない、規制して行かなきゃいけないということを言っています。
今回、紹介している、HFCは他に色々なものがあります。上の表を見ていただくように、数字に分かれて、とにかく色々なものがあります。上記に書いてあるものは、工業用に使用されている洗浄剤ではなく、エアコンの冷媒などで使用されます。実際にGWP(地球温暖化係数)を見てみるととにかく高いです。平均すると、1,000は越えてくるだろうということで、規制になってきています。
今回は、フッ素系の歴史とHCFCとHFCについて解説しました、次回は、HFEとHEOについて解説いたします。
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