News
ホームページをご覧いただきありがとうございます。今回は臭素系溶剤2回目ということで用途や共通点について解説していきたいと思います。
まだ1回目をご覧になっていない方は、こちらからご覧いただくことを推奨いたします。
・臭素系洗浄剤の業界用途
基本的には、臭素系洗浄剤はほとんどが脱脂洗浄で使用されます。塩素系のように、バフ研磨剤など粘度の高い加工油や塗料の剥離などには向いていません、ほとんどは脱脂洗浄を塩素系でやっていて臭素は規制がないということで、臭素系に切り替えている事例が多いかと思います。
※2024年4月より 濃度基準値0.1ppmに規制されます。
・臭素系洗浄剤の共通点
① 洗浄力が強く乾燥が早い
・性能比較(洗浄)
・「KB値」とは脱脂洗浄の能力を測るときの値です。
塩素系溶剤と比べると若干の差はありますが、脱脂洗浄にはふさわしいぐらいの洗浄力があるので、性能がいいと言えます。
・性能比較(乾燥)
乾燥性は、大きな差が出ます。「ジクロロメタン(メチクロ)」が圧倒的に早いですが、乾燥性は沸点を基準にしますので、塩素系溶剤の「トリクロロエチレン」よりも臭素系の「1-ブロモプロパン」が乾燥が早いです。ただし、「ジクロロメタン(メチクロ)」よりも遅いです。
②有機則・特化則の規制がないが、作業環境濃度基準値はある。
※作業環境濃度基準値規制は2024年4月から
濃度基準値0.1ppm
今までは、塩素系溶剤のように特化則や有機則など管理濃度を超えないようにする対策を行うという厳しい規制がなかったのですが、2024年4月より特化則や有機則の規制は変わらずありませんが、作業環境濃度基準値が定められることが決まりました、その管理濃度が「0.1ppm」と塩素系よりも非常に厳しい数字となりました。今後使用するにあたって塩素系よりも厳しい対策が求められます。
③ 価格が塩素系よりは高い。
このハロゲン系の溶剤を並べた時の価格差です。塩素を1としたときに臭素系はメーカーによって2~5倍くらい高いです。
・なぜ作業環境濃度基準値が設けられたのか?
① 毒性が高いことが証明されたため。
1-ブロモプロパンのSDS
赤い線の部分に注目!!
こちらは、【厚生労働省の職場あんぜんサイト】に記載されている「1-ブロモプロパン」のSDSになります。これを見るとかなり毒性が高いことが分かります。SDS上では通常区分が1~2が多い場合には「特化則」や「有機則」にかかるんですが、今回はそれにはかかっていませんが、このような毒性が強いことから、管理濃度が設けられたと思っております。
【厚生労働省の職場あんぜんサイト】1-ブロモプロパンSDS
↓ ↓ ↓
https://anzeninfo.mhlw.go.jp/anzen/gmsds/106-94-5.html
② 1-ブロモプロパンで死亡事故が発生したため
ガス容器の洗浄作業中、1-ブロモプロパン中毒となり死亡
・ガスマスクあり(保存期間過ぎ)
・強制換気なし
状況がかなり悪い
特化則や有機則が非該当でも安全というわけではございません。安全ではない環境だったにしろ亡くなっている方がいると、いうことはこの溶剤は安全ではないということになります。
職場の安全サイトより
↓ ↓ ↓
https://anzeninfo.mhlw.go.jp/anzen_pg/SAI_DET.aspx?joho_no=101510
③ 平成28年度より有害物質ばく露作業報告に指定されたため
平成28年度より有害物質ばく露作業報告に【1-ブロモプロパン】が指定されました。
ざっくり言うと「この溶剤は危険そうなので、情報を集めよう」ということです。
データを収集して、危険かどうか判断しようということです。特化則、有機則は非該当ですが、基本的に「有害物質ばく露作業報告」で情報を集めて、「有機則」「特化則」の該当するケースが多いです。今回はその情報が収集され議論した結果、濃度基準値がもけられたのものと考えられます。
第2回目まとめ
1、1-ブロモプロパンは脱脂洗浄などで使用され、価格は塩素よりは高い。
2、特化則、有機則の規制はないが、作業環境濃度基準値0.1ppmと規制がある
3、有機則、特化則に非該当でも安全とは限らない。
以上が臭素系第1回目になります。第3回は作業環境濃度が設けられたので、どのような対策をしていけばいいのかなどを解説していきます。
気になることがございましたらお気軽にお問い合わせください
↓ ↓ ↓